産学連携のメリット&デメリットから学校や企業での取り組み事例を紹介 

産学連携とは

皆さんは産学連携という言葉を聞いたことがありますか?

産学連携は『新技術の研究開発や、新事業の創出を図ることを目的として、大学などの教育機関・研究機関と民間企業が連携すること』と定義されています。

近年では産学連携を強化することによって、より早くより革新的なイノベーションを起こせるとの声が高まり、様々な大学や企業で連携が進んでいます。

本記事ではそんな産学連携について、主な連携のやり方や実際に産学連携が行われている事例について紹介していきます。

興味がある方は是非最後までご覧になってください。

学校や企業で進む『産学連携』の主なやり方

はじめに、学校や企業での主な産学連携のやり方について紹介します。

 企業と大学の共同研究

産学連携の最もメジャーなやり方として、企業や大学が共同研究を行う方法があります。この場合、企業や大学は同じ研究テーマを掲げて研究し、商品に活かせる技術や問題解決の手段を探します。企業の商品化を見越した研究の場合、研究費は企業側の負担になることが一般的です。
 

 大学の研究者による技術指導

大学の研究者によって企業向けに技術指導などを行うことも産学連携の1つです。

大学の研究者がもつ知識や技術を企業に技術指導したり、コンサルティングを行うことによって企業は技術的なサポートを受けることが出来ます。

日本の場合、こういった時に活用できる学術指導制度を設けているため、研究者が企業向けに技術指導やコンサルティングを行う指導料を企業側が大学に払うこととなります。
 

 TLO(技術移転機関)による技術移転

TLOとは(Technology Licensing Organization:技術移転機関)の略です。

TOLの意味として『大学の研究者の研究成果を特許化し、それを企業へ技術移転する法人であり、産と学の「仲介役」の役割を果たす組織』と定義されています。

このTLOによって企業が大学から技術や知識を取り入れ、それによって得られた利益を大学側に研究資金として還元することが産学連携のやり方の1つです。
 

 大学発ベンチャー

大学発ベンチャーは『創業者の持つ技術やノウハウを事業化するために、設立5年以内に大学と共同研究等を行ったベンチャー企業であり、設立時点では大学と特段の関係がなかったものも含む』と定義されています。

大学発ベンチャーは、大学に潜在する研究成果を掘り起こし新規性の高い製品につなげることで、新市場の創出を目指す『イノベーションの担い手』として高く期待されています。

こうした大学発ベンチャーと一般企業が連携することで新たな技術や製品につなげていくことも産学連携の方法です。

最近の研究では大学発ベンチャーの数は1990年度には55社であったのに対し、2020年度には2901社まで増加しています。
 

産学連携のメリット&デメリット

ここからは産学連携のメリット&デメリットについて紹介します。

 メリット

 研究者など技術的なパートナーを得ることができる

産学連携では企業側にとって大学の研究者などをビジネスパートナーにすることが出来ます。

企業で新技術や新製品を作ろうとした際に、技術的なスペシャリストがいるのといないのとでは結果に違いが出てくるでしょう。

優秀な研究者や科学者を仲間にしたい、という場合には産学連携が大きな効果を発揮します。
  

 大学や研究機関の設備を使用できる

産学連携によって大学や研究機関と連携していれば、研究設備を低コストで使用することが可能です。

研究設備を1から揃えるのは企業にとって大きな負担となる上に、活用できるノウハウがある人材を確保するのも容易ではありません。

そのため最新の設備によって研究成果をだしたいのであれば、産学連携によって専門機関の設備を利用させてもらうことが1つの手です。
  

 公的資金の支援がある

産学連携によって企業と大学や研究機関が連携する場合には、公的資金の支援をもらえる可能性があります。

その理由として、産学連携をすることは国や地域にとって『産業の創出』『雇用の創出』『地域活性化』といったメリットがあるからです。

 デメリット

 企業と研究機関で研究の連携をとるのが難しい

産学連携では研究の内容や方法、疑問点などをスムーズにやり取りし連携することが難しいとされています。

全ての研究を内製化していればこういった問題は起こりにくいですが、外部の大学や研究機関、研究者と協力するには研究体制をしっかりと構築しなければなりません。

例えば課題をリスト化し、定期的に共有し合うなど工夫をする必要があります。
  

 事業的に将来性のある研究を見極めるのが難しい

産学連携では、連携する大学や研究機関、研究者が行っている研究の内容や成果が将来的にビジネスに結びつくかどうかを判断しなければなりません。

そのため、ビジネスチャンスが生み出せる研究内容であるかの見極めが出来るかが、産学連携で成功するかの大きなポイントとなります。

こういった見極めをしなければならないことは、企業側にとってデメリットと言えるでしょう。
  

学校や企業における産学連携の事例

最後に、既に行われている産学連携の実例についていくつか紹介したいと思います。

 立命館大学の事例

立命館大学では『国際的な視点で研究に取り組み、その成果を広く社会に還元し、社会に貢献する「グローバル研究大学」を目指して、国際的な産学連携を推進します』を目標に、以下の事業に取り組んでいます。
 
 ・戦略重点的研究推進組織「立命館グローバル・イノベーション研究機構(Ritsumeikan Global Innovation Research Organization : R-GIRO)を設置し、世界レベルの研究拠点・産学連携拠点の形成を推進
 
 ・これまでのリエゾン活動のノウハウを活かし、「シーズ発掘からビジネス創出まで」グローバルにワンストップサービスを展開
 

 パナソニックの事例

パナソニックでは技術不足を補うために産学連携によって外部からのサポートを得る『オープンイノベーション戦略』をとっています。こちらのオープンイノベーション戦略ではパナソニックが持つコア技術に対して不足する部分を外部と連携し補っていくために、10人前後の担当者を産学連携推進課に配置し外部との連携に取り組んでいます。具体的には

 ・大学の学長・副学長と同社CTOとのトップ同士
 ・大学の産学連携本部と同社産学連携推進課で拠点構築などのスキームを構築
 ・大学の研究者と同社の技術者との共同研究テーマのマッチング

などを行っているそうです。
 

まとめ

いかがでしたか。

産学連携にはメリットデメリットがありますが、今では多くの企業や大学、研究機関で連携が進んでいます。

連携が成功すれば企業や大学、研究機関双方にとって良い結果となるため、是非積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。本記事が皆様の参考になれば幸いです。