PBLとは?日本でも注目を浴びている最新の学習方法とその重要性について

PBLってなに?

皆さんはPBLという言葉を聞いたことがありますか?PBLとはProject Based Learningの略で、日本語で『問題解決型学習』や『課題解決型学習』とあらわされます。

これは非常に注目されている学習方法の1つです。PBLでは生徒は知識を暗記したり、教えられた理論通りに問題を解いていくのではなく、より受動的な学習をすることが求められます。

具体的には、従来の教えられたことを正しく暗記したり実践していく従来の学習(SBL)とは反対で、先に解決すべき課題を与え生徒自身がそれを解決するために知識を身に着け学習していくというものです。PBLをよりイメージしやすいように、具体例をだします。

例えば、従来の教育では故障したスマートフォンを直そうという場合には、電気や機械への知識が必要なので先にそれらを学習したのちに応用としてスマートフォンを修理することが求められました。しかしPBLでは、まだ電気や機械への知識が乏しい段階でスマートフォンの修理を課題として出すのです。

そこで生徒はスマートフォンを修理するためにはどうしたらよいのか、必要な知識から自分で集める必要があります。その過程で失敗もするでしょうが、そういったプロセスで最終的には課題の解決を含め電機や機械への知識がみにつくことを目的とした学習方法なのです。

従来の教育との違いは?

従来の教育はSBLが主流でした。日本では現在でもその状況が続いているといえます。しかし従来のSBL主体の学習方法では、生徒の学習が受動的になり学習の成果が身につきにくいといった課題があるとされています。

また知識だけがあり、現実の場面で問題に直面した場合にその知識を応用することが出来ないといったデメリットもあるとされています。

しかし、先に解決すべき課題を与えるPBLでの学習なら、生徒は能動的に学習に取り組まなければならないため、より学習効果が高くなるメリットがあるとされています。学習のプロセスが逆でより能動的であること、そこが従来のSBLと比較して大きく違う点です。

PBLの重要性について

PBLは教育の現場で非常に重要な学習だとされています。日本では最近までなじみのなかった学習方法ですが、世界ではPBLが主体の学習が推進されていることが多く、その学習効率の高さや身につく応用力などの面からPBLに重点をおいているのです。

その他にも世界的な背景がPBLの重要性を高めているともいわれており、その大きな理由の1つにAIの登場があります。AIは人工知能のことであり、人間には行うことが難しい計算や膨大なデータ処理を正確に行うことが出来て、かつ人間の思考力や判断力のような機能も発達してきています。

そのため、将来的には事務作業などの単純作業の多くはAIに代替され、これまでは人間にしかできないとされていた創造力や思考力が必要とされるような分野でも利用が進むとされています。

なので今後人間が活躍出来る場としては、より複雑な思考力や創造力を伴うような仕事になるとされていて、そういった力を培うためにPBLは欠かせないとされているのです。

PBLのメリット・デメリット

メリットが多いように思われるPBLについてですが、もちろんデメリットもあります。それらについて詳しく見ていきましょう。

PBLのメリット

PBLのメリットは大きく分けて3あります。
 

1.従来の学習よりも思考力が身につく

PBLでは主に答えが1つではない課題に取り組む必要があるので、従来の学習よりも思考力が鍛えられるといいます。PBLでは課題に必要な知識から自分で考えていかなくてはならないため、従来の学習に比べてより多くの思考が必要となります。

またその過程で必ずしも成功するというわけではなく、生徒は様々な側面から課題にアプローチをすることになります。これらの学習の結果、より複雑な思考力がみについていくのです。
  

2.知識や技術の定着率が高い

PBLでは課題解決のために必要な知識が何なのか考えるところからスタートします。なので、関係のない知識を勉強したり、遠回りすることもあるでしょう。

しかしその分、課題解決につながる知識を見つけた時の印象や、それを勉強した時の記憶は非常に定着しやすいとされています。

テストのために学んだ知識はすっかり忘れてしまったのに、課外活動で頑張ったことに関しては今でも覚えていませんか?学習はより能動的に学んだ知識の方が深く定着するので、PBLで苦労して身に着けた知識や技術はそう簡単に忘れたりしないのです。
  

3.応用力がつく

従来の学習では知識の応用は学習の最終段階でした。そのため、実際に応用する前に次の学習に進んでしまう場合も多く、現実で使えない知識だけが積み重なっていくというパターンに陥りがちです。

しかしPBLでは、そもそも学習のスタートが応用力をとわれるものなので、知識をみにつけ課題を解決する頃には強制的に応用力が試されることとなります。そういった学習プロセスを踏むPBLだからこそ、単なる知識にとどまらない現実で役立つ応用力がみにつくのです。
 

PBLのデメリット

PBLのデメリットには大きく分けて2つあります。
 

1.授業に時間がかかる

PBLだとどうしても課題解決のための試行錯誤の時間が必要となります。それが多くのメリットを生み出しますが、逆に言うと効率的に知識だけを身に着けるには時間がかかりすぎるというデメリットにもなるのです。

2.学生の評価が難しい

PBLで学んだことや身についけた知識をテストの点数で評価するだけなら簡単でしょう。しかしPBLで培われる能力は単にテストの点数だけで評価することは難しいのです。何を評価基準にするべきか非常に難しいので、教育する側は評価することに苦労することがあるでしょう。
 

なぜ今日本ではPBLが注目されているのか

日本では今従来型のSBLよりもPBLの導入がいそがれています。それは日本における『アクティブラーニング』の推進が背景としてあります。

アクティブラーニングとは文部科学省が推進している学習スタイルであり、生徒が受動的ではなく、より能動的に学習に参加することを目的とした学習方法のことです。主にスカッションやディベート、グループワークなどによって行われますが、PBLはこれらの1つとして注目を浴びているのです。

平成29年頃から推進されてきたアクティブラーニングですが、今後のAIやIT技術の発展といった未来に備えた学習方法として今後も推進されていくと予想されます。

社会ではPBLが得意な人材が求められている

ここまでPBLについて詳しく紹介してきましたが、PBLが世界的に注目される根本的な理由として、PBLが得意な人材は今後の社会で非常に重要だからということが挙げられます。

社会では答えのない問題にいかに取り組んでいけるかが、仕事の出来るできないを決めるといっても過言ではありません。しかもその動きは今後のAIや機械が発達した未来においてより顕著になっていきます。そのため、PBLのような課題に取り組むことができる人材が求められているのです。

まとめ

いかがでしたか?PBLについて、その内容からメリットデメリットまで深く理解することができたと思います。実社会ではPBLのように、解決すべき課題や問題が先にありそれに取り組んでいくことがほとんどです。

そのため、従来型の学習よりもPBLのようなアクティブラーニングに取り組める人材の需要は高まっています。教育や会社の学習においてもPBLを積極的に導入し、今後に備えた人材の育成に取り組んでいきませんか?